会報103号 -その4-

2023年度国会請願署名と肝炎を囲む状況について

私達は、肝炎検査の促進や肝炎コーディネーターの活用など多くの肝炎対策に取り組んでいます。

その中でも、肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業については、ようやく制度が設けられ、重い肝臓病に苦しむ方々が助けられることを期待していましたが、実態として、制度が設けられてから数年が経過したにもかかわらず、全国的には数パーセントしか進まない状況にあります。

このためより活用しやすい制度にするため、昨年に引き続き、B型肝炎創薬の開発要望も含めた中で、国に対して制度改善のための請願を2023年も取り組むことになりました。

 年明けから請願のための署名活動を行ってきました。ご協力には感謝いたします。ありがとうございました。

私達は、数回の入院からの制度適用ではなく、初回から、そして所得制限の改善等を国に要望しているところですが、この制度の実績としては、京都府においては、全域で年間十数人しか申請されない状況にあります。

 それらの署名を基に、2023年5月31日衆議院第二議員会館において、請願のための院内集会が執り行われました。

 集会開催に当たっては、日本肝臓病患者団体協議会によって、国会各会派に対するロビー活動が行われ、当日を迎えました。

当日は、主催者の日本肝臓病患者団体協議会をはじめ全国B型肝炎訴訟原告団・弁護団、薬害肝炎全国原告団・弁護団の3団体、約130人が参加して開催されました。京都肝炎友の会から山副代表と私も参加しました。

署名総数は4万筆で、参加議員18人、紹介議員51名でした。

集会は多くの国会各会派の議員があいさつに見えられ、盛会のうちに進み、集会終了後、少人数に分かれ、国会議員会館の各議員事務所に請願署名を届け、採択のお願いをしました。

その後、与党肝炎対策議員連盟総会などが行われ、6月21日今回の請願は賛成多数で国会で採択されました。

採択はされましたが、直ちに制度改善へと進むものではありません。

その後、薬害肝炎全国原告団・弁護団による大臣協議や、日本肝臓病患者団体協議会の厚生労働省交渉、全国B型肝炎訴訟原告団・弁護団の大臣協議などが切れ間なく行われてきています。

状況的には、一気に制度改善へと進むことは困難なように思われます。

担当の厚生労働省健康局がん・疾病対策課からの明確な回答は今の段階では何も示されてはおらず、現行制度の運営に当たって、先進的な取り組みが進んでいる自治体などの医療機関の成功例を、広く全国に広める「均てん化」の促進を促す方向で、現行制度の運用を進めるような発言に終始しています。

そして、日肝協が国に対して、来年度予算編成に向けての肝炎対策の要望を行ってきていましたが、このほど要望に対する回答が厚生労働省からありました。

全般的な要望内容は、前述の重度制度をはじめ、肝炎対策の全国均てん化、各都道府県の肝炎対策の目標項目と目標値の結果を国の肝炎対策推進協議会等での公表、肝炎ウイルス検診と陽性者フォロー、重症化予防事業の定期検診の促進、創薬の開発を含めた研究治験状況の開示、肝炎対策の広報、臓器移植の普及啓発・医療体制の整備でした。

この中には、請願のもう一つの要望項目であった、B型肝炎ウイルスの創薬の開発も含まれていましたが、現時点では有効なものは報告されませんでした。

これらの項目について、それぞれに現時点での回答がなされ、これを踏まえ財務省との協議の上、今後の来年度予算編成でどのように要望が実現されていくのか注目されるところです。

そして、先ほどのように、肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業の制度が改正されることなく、医療機関の成功例を広く全国に広める「均てん化」の促進を促すだけに、本当に留まるのか注視していくことが必要です。

そうならないためにも、国会議員への要望活動などをさらに進め、新年度からの制度改善を求めていくことが必要になってきます。

請願で取り上げた、悲願である重度の肝臓病患者に対する医療費助成制度の改善については、以上のような状況にありますが、地道な要望活動を今後とも、止めることなく一歩一歩進めていかなければならないと思います。

さらには、地元の京都府に対しても、このような国の状況を踏まえた中で、私たちが具体的に必要とする肝炎対策の実施について、良好な関係を保ちながら要望していくことも忘れてはならないと思いました。

以上が、現時点での肝炎を囲む状況です。皆様のご協力をお願いいたします。

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