2015年8月12日に起きた中国天津倉庫爆発事故により、グラクソ・スミスクライン株式会社(以下、GSK)天津工場が被害を受けました。この工場では日本向けのB型慢性肝疾患治療薬「テノゼットⓇ錠300mg(一般名:テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩)」を製造し、爆発事故による被災により本剤の製造・出荷が停止しており、8月31日現在、工場の操業再開の目途が立っていない状況です。
この状況をうけ、GSKは、出荷調整を実施することを決定しております。また同社広報によると2015年8月末時点での国内における本剤の在庫数は、月間出荷量の約2カ月分であることを発表しています。
日本肝臓学会は本年9月1日に学会会員向けに緊急通知を発し、①テノゼットの処方を新たな患者に対し開始することを控えること、②現在テノゼットを処方中の患者に対しては、長期処方を避け、一処方箋あたりの処方期間を短くする、を求めています。
B型肝炎治療における核酸アナログ製剤は、治療を始めると、一定の条件を満たさない限り途中で治療を中断できない薬剤です。また、テノゼットはヒトにおける胎児への危険性の証拠はないとされるカテゴリーBとされ、妊婦への治療ではテノゼットの治療が最近導入され始めています。
このような状況を受け、薬剤の出荷調整の報道で、この薬剤を利用している患者からは、今後の薬剤の処方の見通しなどで大きな不安に駆られ、日肝協にも相談が寄せられています。
患者会では、厚生労働省やGSKにテノゼットの安定供給に全力を尽くすように要請しています。