会報NO.104 -その1-

均てん化って聞いたことありますか

わたしが知ったのも数年前でした。友達に聞いてもそんな言葉知らないと返ってきます。私たちウイルス性肝炎患者は「均てん化」を目指しているのです。では「均てん化」の意味ですが漢字では「均霑化」 一生物がひとしく雨露の恵みにうるおうように。。。

とてもすごい言葉だと思われませんか。

 2007年に出来たがん対策基本法にがん医療水準の均てん化が唱われています。「全国どこでもがんの標準的な専門医療をうけられるよう、医療技術等の格差の是正を図ること」。そして2010年に出来た肝炎対策基本法にも均てん化という言葉が入っています。そして今ここで盛んに肝炎対策で使われるようになったのはどこに住んでいても、同じ水準の治療が受けられ、医療費助成も受けられると基本法に書かれているのに、全国の都道府県の肝炎対策、例えば肝炎検査を受けた数、専門医の数、医療費助成を受けている数などグラフにしてみるとあまりのも格差が大きすぎるのでないか。低いところは均てん化を目指して足並みをそろえてくださいということです。

 先に京都府との懇談会の中の回答の中にも北部の医療対策に均てん化を図ると書いています。京都府も北部の医療格差を認めているのです。ふだんの生活には使いませんがどこに住んでいても同じ専門的な治療が受けられる。これこそ医療の均てん化なのです。このようにいろんな数字を都道府県で並べるとわが京都府は平均よりずっと下にいることが分かってきたのです。懇談会でも肝炎対策もいろいろありますが遅れているところは均てん化を図ってくださいと要求してきました。

会報No.104あいさつ

挨 拶                

 お正月早々能登半島地震に、私たちはおっかなびっくりですみましたが、被災地に方々にはこの寒空のもと心からお見舞い申し上げます。また夜には航空機衝突という事故もありました。日常的に薬を常用している方々は薬は持ち出されたのか気になります。

皆さんお変わりございませんか。

 昨年の国会請願ですが皆さんの多くの署名や、カンパをいただきありがとうございました。おかげさまで請願は採択されました。これを受けて今年度の国会請願は見送られることに決まりました。

 昨年末に京都府へ要望書・質問書を提出しました。年度内に回答をお願いをした中で3月初め懇談会をしました。丁寧に回答をいただきましたが、回答のための文言もあり、行政としてもむつかしいこともあるでしょうが、私たちには「命」がかかっていることもわかっていただきながらの懇談会でした。山ほどある仕事ですから、分業は仕方ないのですが、この中身は担当が違うのでといわれることもあり、全体を見ている人は誰なんやと思うこともありました。

 肝がん・重度肝硬変にまで重篤化した患者さんへの福祉はまだ十分ではありませんが、この4月から医療費助成の条件が緩和されることになりました。利用しやすい条件になったどうか、利用された人数に注視していかなければなりません。

 今回の会報104号は大変盛りだくさんになりましたが、何かお役に立てたら幸いです。

会報103号 -その7-

あなたは何らかの医療費助成を受けていますか?

医療費補助を受けることができるかもしれません、対象になるか相談してください‼

京都肝炎友の会の皆様はほとんどの方は何らかの形で通院、または時々入院ということが続いていると思います。ウイルス性肝炎は「その責は国にある」と認めたものです。

ですからB型であれC型であれウイルス性肝炎は、医療費助成の対象になっています。 この病気には医療費助成がありますということはほとんどの病院では教えてくれません。 医療費助成の対象なのに助成を受けていない方が多くいます。京都府では全国的に見てもワーストにあります。病院や、町医者でもどこかに張ってあるかもしれませんが意外と見ていません。だから「知らなかった」ということが多いのではないかと思います。

前回の会報にも載せましたが日本は何事も申請(自分で行く)しなければやってきません。コロナの10万円は特別で受け取りに来なさいよと連絡がありましたがあくまで特別です。

例えばC型では医学の進歩でウイルスの消えた方が多くいます。そのあと最低5年くらいは年2回、画像検査を含めて検査に通わなくてはいけません。ウイルスも消え病気から解放されたと思っていませんか。これをおろそかにするとがんが出たという話もあちこちであります。この検査費用も助成されています。申請された人の話ではあまりの少なさにびっくりされたようですが、わずかでも制度のあるものは使っていかないとそれを必要としている人(特に現役世代の人)もたくさんいて、利用者が少なくなるとその制度がなくなってしまいます。

自分はどういう医療費助成の対象になるのかすぐにお近くの保健所・区役所に電話してみてください。行動しなければ物事は動きません。

乙訓    075-933-1153      中京  075-366-8609

山城北   0774212192      東山  0753545086

綴喜分室  0774635734      山科  0756348631

山城南   0774720981      下京  0753545209

南丹    0771622979      南   0756061325

中丹西   0773226381      右京  0753660115

中丹東   0773750806      西京  0757489058

丹後    0772624312      洛西  0758742275

北     0753666085      伏見  0755747170

上京    0753663748      深草  0756449105

会報103号 -その6-

C型肝炎の研究-一つの歴史―

私たちは人間を一人二人と数えます。牛や馬は一頭二頭と数えます。虫は一匹二匹、対象によっては違う数え方もしますが、人以外に一人二人と数える生き物がいます。それは私たち人類と祖先を同じくするチンパンジーやゴリラで、霊長類ヒト科に分類されるのだそうです。

 このチンパンジーには、私たちヒトが特別な思いを寄せる悲しい過去があります。ヒトと遺伝的に大変近いことから苦役を強いられたチンパンジーがC型肝炎を克服した私たちに黙って問いかけています。

 話は、C型肝炎ウイルスがまだ見つかっておらず、非A非B型肝炎と呼ばれていた1970年代末ごろの話です。チンパンジーがヒト以外にこのタイプに肝炎にかかることがわかり、日米でチンパンジーを感染実験に用いるようになりました。感染したチンパンジーの肝臓組織や、血漿からC型ウイルスのクローンを抽出するのだそうですが、霊長類を生体実験に使うことの忌避感が強まり困難を極めたそうです。この研究は、培養細胞でウイルスの感染増殖が実現するまで続きました。2005年に脇田隆字先生(国立感染症研究所所長、肝炎対策協議会委員)らによる培養細胞感染系の確率で終止符を打つことになりました。これ以後、治療や創薬の研究が飛躍的に進み、今日に到りますが、生体実験をされ、C型肝炎になったチンパンジーのことは忘れ去られたようです。

 昨年の秋ごろネットである記事に目が留まりました。

「ウイルスの医学実験を受けたチンパンジーたちに治療薬を購入したい」という表題でクラウドファンディングを募っている記事でした。次のような内容です。

医療の進歩で、良い治療薬が開発され、ヒトのC型肝炎は治療可能になりました。チンパンジーも治療可能なはずですが、治療薬が非常に高価であること、熊本サンクチュアリの母体が「研究」を目的とする大学の組織であるため、飼育する動物の「健康管理や福祉向上」を目的とした活動への予算については優先順位が低いことから、これまでチンパンジーのC型肝炎の治療はできてないままでした。そこでこの度、クラウドファンディングを通じてC型肝炎ウイルスに持続感染しているチンパンジーたちに治療薬を購入できればと考えています。

 まずは一個体の治療薬購入費用を第一目標金額として目指します。もし目標を超えてご寄付いただいた場合は二個体目以降のC型持続感染のチンパンジーの治療薬の購入や、現在障害

が出ているチンパンジーたちの対処療法のための薬購入に充てさせていただきたいと思います。かつて未知だったウイルスへの治療薬開発のために力を貸してくれた彼らに、彼らが生きている間に、私たち人間が恩返ししなければなりません。

1個体の薬代は約400万円かかるのですが、C型新薬ウイルス排除ができて治った方は高価な薬であることはよくご存じのはずです。この熊本サンクチュアリでは8個体の薬代を集めるためにクラウドファンディングを呼びかけて集まったお金で、順々に薬を購入しているそうです。

この話題は日肝協の幹事会でも議論となり、応分の寄付をしようと全員が賛同しました。日肝協自体が社会から援助を受ける立場であるので大したことはできないにしても、このチンパンジーたちを見過ごすことはできないと全員が思いました。

※2022年10月31日現在約2400万円が集まり、このクラウドファンディングは成立しています。しかし8個体全員の治療代にはまだ届かず、熊本サンクチュアリでは引き続きの応援を呼びかけています。

ー肝臓のなかまより転載ー(日肝協の情報誌)